神経じめ(神経締め)について

今日は、明石のジギング船ではエルモ船(利弥丸、弾岩丸、耕栄丸)でしか行われていない魚の特殊な締め方「神経じめ(神経締め)」についてお話します。
「釣った魚をおいしく食べるために」利弥丸では、近畿大学農学部水産学科水産利用学研究室にご協力いただき、魚を一番おいしく食べていただける神経じめ(神経締め)についての研究結果を教えていただきました。
近畿大学農学部水産学科水産利用学研究室は、主に魚介類などの水産資源を水産食品(刺身、かまぼこ、魚醤など)として有効利用することを目的として、食品化学、生化学、組織学的な観点から研究を進めている研究室です。
■神経じめ(神経締め)について
脊髄には自律神経が走っており、脳の命令とは関係なく筋肉を動かすことができます。これは人も同様です(脊髄反射といいます)。
魚の背骨を切断すると、脊髄と脳とが遮断されるため、脳からのまともな信号がいかなくなり脊髄だけの、いわゆるデタラメな命令がいくことになります。具体的には、筋肉が激しくけいれんしており、しかもこのけいれんが治まったあと約30分後に魚体が激しく暴れだします。
なぜ30分なのかはいまだ不明です。酸欠になった細胞から何か信号が出るのかもしれません。
神経じめ(神経締め)をして神経をつぶすとこれら一連のことが起こりません。そのためエネルギー源のATPが温存されます。ATPの枯渇とともに死後硬直が始まりますので、結果的に死後硬直を遅らせることになります。
硬直が起きていない筋肉は透明度があります。これは筋収縮が起きていないためと思われます。一般的な魚に対するメリットはこれと硬直前という「イメージ」だと思います。
ただし、ヒラメだけは神経じめ(神経締め)をすると硬直が早まります。原因はわかりませんが、元々動かない魚を刺激してしまうからあたりでしょうか。
その他はマグロに代表されるヤケの問題で、原理的には上に書いたことと同じです。
■神経じめ(神経締め)をした後の血抜きについて
神経じめ(神経締め)をした後は、海水に10分程度漬けて血を抜きます。
■魚を持ち帰る時はどういう点に気をつければよいのか?
冷やしすぎは魚肉の硬直を早めます。氷の上に新聞紙を引くとボックス内はほぼ4から5℃になり、硬直前の状態が長続きします。
ただし好き好きな点もありますので、どちらがいいというものでもありません。
■神経じめ(神経締め)した後、どのくらいの時間で食べるのが一番おいしいのでしょうか?
よくいう言い方は、ATPがなくなってIMPがたまってくる数時間後(魚によってまちまちです)は歯ごたえもしっかりしていてよいといいます。マダイなどは朝締めして夜に出したりします。
また、食べ方については刺身でも加熱する食べ方でも、ATPはみなIMPにかわってしまいますのであまり影響はないと思われます。鮮度の良すぎる魚を加熱すると身がはじけてしまうことがあると聞いたことがあります。
以上です。
※掲載文は、近畿大学農学部水産学科水産利用学研究室にご協力いただいたものです。転載等は固くお断りさせていただきます。
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大窪 利弥 (おおくぼ としや)

大窪 利弥 (おおくぼ としや)

利弥丸の船長です。

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